ASMRとは?言葉の意味とASMR動画の効果


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「話題のトレンドASMRってなに?」

YouTube動画サイトを中心に、国内外を問わず耳にすることの多くなってきたASMRとは一体なんなのか?
つい最近知った人や、すでに多くのASMR動画を視聴している人にとっても、漠然とした疑問があるのではないでしょうか。

ここでは、その疑問を少しでもスッキリできるように、言葉の意味から効果について紐解いていきたいと思います。

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ASMRとは

ASMRとは(Autonomous Sensory Meridian Response)の略で、人がある音や動作を、聞いたり、見たりした時に感じる心身の自律反応を指し、聴覚と視覚からの様々な刺激によって引き起こされる、心地よい感覚やリラックス状態のこと。

刺激による反応をTingle(うずき)とも表現され、主に頭皮から背骨にかけてゾクゾクするような肉体的な感覚、安堵感や気持ちのいい眠気などの心理的な感覚をもたらす現象がASMRです。

ASMRの起源

ASMRの語源は2010年2月、ニューヨーク州在住女性、ジェニファー・アレン(Jennifer Allen)さんによってに命名されました。
事は彼女自身が過去に感じた不思議で心地よい感覚に端を発します。
当然その頃は、感覚を表す言葉も存在していません。
不思議な経験がなにか知る術がなく時は流れ、2007年”SteadyHealth.com”のフォーラムに「Weird Sensation Feels Good(奇妙な感覚が気持ちいい)」というスレッドが立てられているのを発見し、自分と同じ経験をした人がいることに気付きます。

そして、2009年頃にアレンさん自身もそこでディスカッションを始めています。
その結果、もっと明確に多くの人と共有できるコミュニティの場が必要だと感じ、2010年、Facebook上にASMR Groupを立ち上げたのを境に、ASMRという言葉が生まれたのです。
この一連の流れが言葉の起源となっています。

ASMRの意味

Autonomous Sensory Meridian Response”=(オートノマス・センサリー・メリディアン・レスポンス)を直訳すると、「自律感覚絶頂反応」。それぞれの単語を読み解いても一般的に解釈が難しい言葉ですが、感覚を表す重要な要素を捉えて作られた造語で構成されています。
これには、彼女がコミュニティの存命と世間の関心を広めるために、あえて臨床的な側面を意識したことが反映されています。

しかし、ASMRが科学的にも立証がされたものではないため、当初は専門分野から批判的意見もあったと、後に”ASMR University”のインタービュー内で語っています。
それでも、指針となる言葉を持つことで感覚の表現が明確になり、今ではメディア、コミュニティ上問わず、世界各国でASMRがこの感覚を表す共通語として用いられています。

トリガーと二つの要素

心地のいい刺激を誘発するきっかけになるものを「トリガー」と呼びます。
人・物・環境などが含まれ、トリガーには、二つの要素からなる刺激があります。

トリガーの種類

視覚的要素(動作)
・肌に触れる仕草
・人の表情
・雰囲気
・ボディーランゲージ(身体の動き)
など

聴覚的要素(音)
・紙が擦れる音
・水が流れる音
・物をやさしく叩く音
・ささやき声
・本をめくる音
など

お気付きだと思いますが、これらは生活の中に存在するごく普通の出来事です。
実は皆さんもすでに体験しているかもしれません。普段、穏やかな人の話声が心地よく聞こえたり、美容室で髪に触られた時やカットの音に、ふわっとした気分になったことはありませんか?
身近なところでは、キッチンからおいしそうな匂いとともに聞こえてくる、ジュワーッとお肉が焼ける音、授業や職場などで文字を書く音・・・挙げればキリがないほどです。

このような人間や物から発する、日常の様々な音や物を素材としたものがトリガー(きっかけ)になります。

ちなみに、心地よい刺激を表現する言葉として、「ゾクゾク」とか「ぞわぞわ」するといった感覚が一般的です。

ASMR動画

そして、これらのトリガーを意図して作られたコンテンツがASMR動画です。
動画投稿者は、主にYouTube動画サイトをプラットフォームにし、ASMR動画のコミュニティでは投稿者のことを、ASMRとアーティスト(artist)を足した造語でASMRtist(エーエスエムアール・アーティスト)と呼んでいます。
トリガーを体験する時に特別な行動は必要ありません。落ち着いた状態でイヤホンやヘッドホンを装着し、耳を澄ませて映像を見るだけです。

ASMR 100 Triggers For You To Sleep ♥ (4 HOURS)

asmr zeitgeist

この動画は、ドイツのASMRtist”asmr zeitgeist”さんによる、視聴者(あなた)が眠りにつくために意図して作られた、100のトリガーを集めたダイジェストです。

是非リラックスして視聴してみてください。
きっと、あなたにとって心地よいと感じる音が見つかると思います。

ASMR動画の効果と個人差

「心身をリラックスさせ、眠りにつくことにも役立つ」

一般的な効果として「気分が落ち着く」「眠くなる」「気持ちが穏やかになる」など精神的な安らぎを得られる意見が多い傾向にあるようです。
一概には言えませんが、副交感神経が働きやすい、就寝前のひとときに視聴するのが最も効果的ではないでしょうか。
しかし、個人の感じ方の違いにより、自分に合わない音や、むしろ不快に感じてしまうトリガーは存在します。
現状では現象が科学的、医学的に立証、解明されていないため、この感覚はその本人にしか理解できないものです。

ASMRと音フェチの違いについて

おそらく、音フェチという言葉をきっかけにASMRを知った人も多いと思います。
違いはなにか?という論点で言えば、この記事の中で答えは出ています。
そもそもこの感覚を表す正式な日本語訳や造語も存在せず、ASMR動画と音フェチ動画は発祥時期も違うため、両者ともまったく異なるトレンドです。

音フェチとは、正確にはニコニコ動画にタグ付けされて、投稿されている動画のことを言います。

音フェチとは、耳をくすぐるように刺激する、麻薬のような音声の動画につけられるタグである。
引用元|ニコニコ大百科

ASMR動画にあるトリガーと類似点はありますが、音フェチ動画は日本独自のコンテンツです。

しかし日本では、同じような趣向として認知される(取り上げられる)ケースがほとんどです。
視点を変えれば、視聴した個人がどう感じるか、という部分で様々な考え方もあると思います。
それぞれが区別されればいいのですが、問題点として、ASMRと音フェチが混同した場合、ASMRが本来持つ意味との明らかな相違が生じるのです。
せっかくアレンさんが作り出した言葉があるのですから、日本においても世界共通語であるASMR、もしくは、より多くの日本人に親しまれる言葉の選択が望ましいと筆者は感じます。

まとめ

幼い頃、両親から絵本の読み聞かせをしてもらい、スヤスヤと眠りについた記憶が、すべての人がASMRを理解することのできる原点のような気がします。
アレンさんのように、最近になって「実はずっと昔から感じていたけど、それが何かやっと分かったかも!」とすっきりした人も多いのではないでしょうか。

人間の潜在的な感覚に反応し、誰にでも感じることのできる身近な現象。
それがASMRです。

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