アーティストの使用機材とASMR動画制作の為のマイクとレコーダー


マイクに向かう女性

チェックポイント
「ASMR動画のサウンドを彩るバイノーラルとXYステレオ録音」

海外を中心に認知度が高まったASMRはコミュニティが活性化されるのに伴い、日本でも投稿者が着実に増え続けています。
視聴者にとってはうれしい限りですが、動画を視聴している内に、自身でも投稿してみたいと思った人も多いのではないでしょうか。
でも、そこでまず気になるのは動画配信に必要な機材です。
「これから配信を始めたいけど、何を用意したらいいの?」という素朴な疑問。
特に今までYouTube等で動画配信をしたことがなく、特別機材に詳しくない人などは、ある程度目安が欲しいところですよね。

現在は、投稿者が機材リストを公表しているケースも多いため、まずは同じ環境で初めてみるのも有効的な方法だと思います。
それを踏まえてここでは、ASMR動画を配信する時に必要な機材と選び方、そして、是非参考にしたい有名ASMRtistも使っている使用機材を紹介していきたいと思います。

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ASMR動画配信で必要な3つの機材

まず、制作に必要不可欠な、映像・音を収録するための機材は、カメラ・ICレコーダー・マイクの3つ挙げられます。
この中で最も昨今、クオリティを大きく左右している機材はマイクとICレコーダーで、バイノーラル録音できるマイクの普及率が高い傾向にあります。
バイノーラルマイクがASMR動画でここまで普及した背景には、イヤホンやヘッドホンでの視聴を想定した時の原音のリアリティ・再現性や、視聴者が求める音のトレンドを意識した傾向があると思います。
ただ、これは絶対的なものではなく、XY方式による高音質なステレオ録音で動画を配信する投稿者も存在しますので、マイクを選ぶ際は自身のコンテンツの趣旨や予算で判断するといいかもしれません。

動画撮影の機材

バイノーラルマイク
リアリティがあり、実体験に限りなく近い音響効果を得られるバイノーラル録音はステレオ録音の一種で、その音声の収録に使われるのがバイノーラルマイクです。
ASMRブームに拍車を掛けたきっかけの一つに、リアルなサウンドクオリティが大きく貢献していると言えるでしょう。
疑似頭部の両耳にバイノーラルマイクを埋め込んだダミーヘッド型、頭部を省略しながらもダミーヘッドタイプと同等の集音能力を持つ3Dio、コストパフォーマンスの良いイヤホンタイプなどがあります。
また、改造したイヤホンにコンデンサマイクを取り付けて、マイクを自作するという方法もあります。

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ICレコーダー
マイクで拾った音を録音するために必要なのがICレコーダーです。
ICレコーダーは出力レベルの調整やホワイトノイズを低減する役割もあり、多くの投稿者が使用するICレコーダーは、エディット機能に長けたある程度高品質なモデルを使用するのがポピュラーです。
本体にも優れた音質でレコーディングできるXYステレオ方式マイクを内蔵しているモデルもあります。
XYステレオ方式は、マイキングテクニックの1つで、2つのマイクに角度をつけて配置することにより奥行きと広がりを持たせた録音ができるのが特徴で、外部のマイクを使わずとも内蔵されたXY方式のマイクで音声を録音することができます。

カメラ
動画を撮るためのカメラは、ASMRの視覚的要素に関わる部分です。
YouTube動画においては、ASMR動画のカテゴリ以外でも多くのユーチューバー達に使用されているのが動画撮影ができるデジタルカメラです。
一眼レフカメラを使用した場合、後々レンズの交換もでき、自身の目的する映像と配信のクオリティのアップグレードを行う際に融通がきくという利点もあります。

ASMRtist達が使っている使用機材は?

これから配信したい人にとっては一番関心がある部分だと思います。
ASMR動画では、パイオニア達が使用するハイエンドな機材から、コストパフォーマンスの良い機材環境でも、質のいい動画を配信する投稿者など様々です。
ここでは、人気度もさることながら、クオリティの高い動画を配信しているASMRtistの機材に注目してみました。
尚、投稿者は動画の内容やトリガーによって機材を使い分けたり、その都度新調することが多々ありますので、あくまで一つの目安として考えるのがいいでしょう。

[ASMR Binaural] Old Wooden Box Tapping & Brushing – No Talking

Made In France ASMR

・カメラ CANON EOS 700D
・ICレコーダー Zoom H6
・マイク Oktava MK-012 (x2)

フランスのASMRtist、Made In France ASMRさんの動画では、コンデンサーマイクが2本使用されています。
「あれっバイノーラルマイクじゃないの?」と思ってしまうかもしれませんが、指向性切替えが可能なカプセルが付属されたOktava MK-012 のコンデンサーマイクを2本使用することにより、幅広くフラットな音声を収録することができます。
ICレコーダーは、ASMRtistの間でも普及率の高いZOOMシリーズの中のZoom H6を使用しています。
キャノンのカメラは、デジタル一眼レフカメラのエントリーモデルとして発売されているもので、日本での商品名は、EOS Kiss X7iです。

ASMR TAPPING TORNADO | Intense 3D Trigger Sounds & Male Whispering

asmr zeitgeist

・カメラ DSC-HX90V
・ICレコーダー ZOOM H4N PRO
・マイク RODE NT1A(x2)

刺激的な高速タッピングが印象的なドイツのASMRtist、asmrzeitgeistさんです。
カメラには、ソニーのサイバーショットシリーズのデジタルカメラを使用しています。
ICレコーダーのZOOM H4N PROは、名前の通りプロ仕様の性能を持っており、高品位マイクプリアンプとXYステレオ方式マイクを装備した低ノイズかつ、リアリティのあるサウンドでレコーディングできるモデルです。
ただ、ここでのマイクはミュージシャンやエンジニア業界御用達のRode NT1Aコンデンサーマイクを2本使用して、より本格的なマイキングを行っています。

Pesto Genovese Recipe | 4K ASMR Cooking sounds

EMOJOIE CUISINE

・カメラ Panasonic Lumix DC-GH5
・マイク RODE NT4

音と映像のクオリティに定評があるASMRクッキング動画の投稿者、えもじょわさんの使用機材です。
カメラには、4K動画撮影が可能なミラーレス一眼のLumix DC-GH5を使用しており、高品位なステレオ録音を得るために、XLRマイクアダプターを介してマイクと接続しています。
マイクのRODE NT4は、単一指向性マイクが2つ装備されたモデルで、XYステレオ録音が可能です。
本来XYステレオ方式などのステレオ録音を行う際には2本のマイクが必要になります。
先ほどのasmr zeitgeistさんも単一指向性のRode NT1Aを2本使用していましたね。
NT4モデルの優れた点は、わずらわしいセットアップなしに、これ1本で高品質なレコーディングに対応できる所です。

ASMR 🍒 Tingly EarRings 🍒 Whisper Ear-to-Ear

Gentle Whispering ASMR

・カメラ Canon PowerShot G7
・ICレコーダー ZOOM H6
・マイク Blue Microphones Spark Cardioid(x2)

ASMR動画のリスナーであれば知らない人はいない、投稿者のパイオニア的存在であるマリアさんの使用機材です。
カメラはキャノンのコンパクトデジタルカメラを使用。
ZOOM H6のレコーダーに、Blue Microphones社の単一指向性プロフェッショナル・マイクを2本接続して広がりのある立体的な音響を再現しています。

[日本語 ASMR, ASMR Japanese,音フェチ] ごしごし 耳掃除 耳を洗いましょう! | Bubble Ear Cleaning & Washing

Eraing ASMR

・カメラ Canon 70D
・ICレコーダー ZOOM H6

日本語配信でお馴染み、日本でも人気の韓国のASMRtist、イラインさんの機材です。
ICレコーダーには、先ほどのマリアさんと同じ、ZOOM H6が使用されています。
外部マイクは使っておらず、標準付属のマイクカプセル「XYH-6」からのXYステレオ録音を行っています。
このような、録音機材を中心に置いた配信スタイルは皆さんもよく目にすることがあると思います。

ASMR 1Hour of Various Ear Triggers

Latte ASMR

・マイク 3Dio

国内外問わず右肩上がりの人気を誇る韓国のASMRtist、Latte ASMRさんが使用しているのは、バイノーラルマイクの3Dioです。

シリコンラバーで製作された疑似耳介の利点は、この動画内で見られるような、耳のマッサージの疑似体験や耳を吸引するようなカッピングの音を出せることです。
3Dioは、視聴者からの需要も高いear cleaningを主とした配信を行う場合には最も最適な機材と言えます。

[ASMR] Zoom H6 Mic Touching (Crinkly, Latex Glove, Brushing, Tape)

Dana ASMR

・ICレコーダー ZOOM H6

国内外に多くのファンを持つ、韓国のASMRtistのDana ASMRさんがここで使用している見覚えのあるICレコーダーは、他のアーティストでも度々使われているZOOM H6です。
付属のマイクカプセル「XYH-6」は、2つのマイクの角度を90度から120度まで変更することができ、広がりのあるXYステレオ録音を可能にしています。
これにより、中心の音をしっかりと捉えながら、近~中距離までの音源を立体的に録音することができるため、使い方次第で様々なトリガーに対応できるメリットがあります。
この動画の2:15過ぎからに注目してみてください。
XY方式のステレオマイクで左右からの音声がワイドにレコーディングされているのが分かると思います。
これはICレコーダー本来の使い方ではないですが、マイクに直接触れることで、まるでダミーヘッドや3Dioが持つ疑似耳介に近い音響を出すことも可能です。

このように、様々な機材の組み合わせにより、ASMR動画は制作されています。
そしてこれから機材を揃えるのに直面するのが、実際の所「どの機材をどのように接続したらいいの?」という疑問です。

動画撮影時のマイクとICレコーダーの接続

自分の配信スタイルや予算にあった機材を選ぶのも、楽しみの一つだと思いますが、上を見てしまうときりがない機材の種類に迷ってしまうのに加え、意外と分かりづらいのが機材の接続方法ではないでしょうか。
そんな人の為に、ここでは比較的導入しやすい機材を用いて、具体的な接続方法の一例を紹介します。

ICレコーダーとバイノーラルマイクの接続例

-使用機材-
・バイノーラルマイク Roland CS-10EM
・ICレコーダー TASCAM DR-05

バイノーラルマイクなどの外部マイクを使用する場合、ICレコーダーにマイクを接続します。

バイノーラルマイクとレコーダーの接続

CS-10EMのイヤホンにあるプラグの赤い方が、「マイク入力(録音)」、黒い方が、「イヤホン音声出力(モニター)」端子となっており、DR-05側の「マイク/外部入力」「イヤホン/音声出力」にそれぞれ接続します。
これで録音と同時に音をモニタリングすることができ、このケースでは、録画に対応したカメラで撮った映像と音声ファイルを同期する編集を後に行います。

Roland CS-10EM
CS-10EMは、イヤホンにコンデンサー・マイクを内蔵したイヤホン一体型のマイクなので、自身の耳に装着するだけでバイノーラル録音が行える手軽さがウリです。

ローランドCS10EMRoland バイノーラルマイクCS-10EM

TASCAM DR-05
DR-05は、本体にA-B方式の無指向性ステレオマイクを搭載しており、マイキングや録音テクニックの知識がなくても簡単に臨場感のあるステレオ録音ができます。
数あるICレコーダーの中でもコストパフォーマンスも良く、これから動画配信を行う人のエントリーモデルとして最適です。

タスカムDR-05TASCAM DR-05VER2-JJ

ICレコーダー内蔵XYステレオ方式で録音する場合

もう一つの方法は、ICレコーダーに内蔵されたXYステレオマイクで録音をするケースです。

-使用機材-
・ZOOM H6
・TASCAM DR-40

カメラとレコーダー

映像と音声の同期を行う場合は、カメラ側の「音声入力(INPUT)」とICレコーダー側の「音声出力(LINE OUT)」を3.5mmステレオミニプラグのオーディオケーブルで接続します。
音声のクオリティにこだわる場合など、カメラと接続せずに後で動画編集ソフト等で同期したり、XLR/TRSステレオインプットに外部のコンデンサーマイクを接続することも可能です。

ZOOM H6
ZOOM H6は、ライブレコーディング、映画、ビデオ音声の収録など、多目的な現場で愛用されているプロ仕様のハンディレコーダーです。
14.6mmの大口径ダイヤフラムを採用することにより、低域から広域の音声をバランスよく収音できる他、XYマイクの立体的なサウンドが誰でも簡単にレコーディングすることができるモデルです。

ZOOM H6ZOOM H6

また、H6はマイクカプセルの交換が可能なのも魅力の一つです。
オプションの「XYH-5」を装着すれば、左右の正確な音像だけでなく前後の奥行きまで忠実に再現でき、バイノーラル録音のようなより立体的な音声を収録することができます。

XYマイクカプセル XYH-5
XYH-5ZOOM XYステレオマイクカプセル XYH-5

TASCAM DR-40
DR-40は、XYとABステレオ方式に対応した可動式の単一指向性マイクによって、シチュエーションに合わせた柔軟な録音を行うことができます。
コンテンツの内容や、目的とする音を意図して収録するようなレコーディングシーンにも最適なモデルです。

TASCAM DR40TASCAM DR-40VER2-J

まとめ

ASMR動画において機材を選ぶときのヒントは、自分がイメージする音とトリガーとなる素材を、限りなく鮮明にコンテンツとして視聴者に伝えることができるかという部分にあると思います。
直接自分の耳で聴いた音と、マイクを通して録音された音には当然違いがあります。そのギャップを埋めたり、使い方次第で彩りを与えてくれるのが機材の性能です。
この記事内で取り上げさせて頂いたような、すべてのアーティストやクリエイターのスタンダードモデルを手に、是非ASMRtistへの第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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